ヨガと呼吸~呼吸を深める

私たちは、一日に2~3万回も呼吸をしていると言われています。自律神経の働きにより無意識に行っている呼吸は、身体に自然に任せることも自らコントロールすることもできます。

ヨガでは、この呼吸(=プラーナ※)をとても大切にしていて、ヨガを行うことでほとんどの方の呼吸の質が上がり呼吸が深まっていきます。何故、深い呼吸は大切なのでしょうか。

呼吸を深めるメリット

・自律神経のバランスが整う

交感神経、副交感神経の状態に合わせて呼吸は浅くなったり深くなったり変化します。自分の意思で自律神経をコントロールすることはできませんが、呼吸により自律神経にこちらから働きかけてバランスを整えることが可能になります。

・内臓機能を高める

メインの呼吸筋である横隔膜や、息を吐く時に関わる腹筋群の動きが良くなると、呼吸の力で腸が刺激され排泄機能が高まります。腸の状態が良くなることで免疫力もアップしますよ。

・血流、リンパの流れを促す

肺が一定のリズムでしっかり伸縮することで、全身の血流が良くなります。静脈で回収しきれない老廃物の処理や身体の水分調節・免疫機能にも関わるリンパの流れも、血管の動きや深い呼吸などにより促進されます。

・呼吸筋のバランスが整う

呼吸には多くの筋肉が関わっています。それらが一日何万回も伸び縮みを繰り返していますが、筋肉なので硬くなったりゆるんで弱くなったりすることがあります。深い呼吸ができるようになるということは、呼吸に関わる筋肉をしっかり伸び縮みさせて呼吸筋のバランスを整えるということになります。

・姿勢が良くなる

呼吸のメインの筋肉である横隔膜、肋間筋がしなやかに動く深い呼吸を行うには、呼吸が通りやすいような良い姿勢であることが大切になります。呼吸しやすい身体を作るための動きは、同時に姿勢を良くするための動きとも言えます。

・セロトニンの分泌を促す

深い呼吸により副交感神経が優位になると、別名「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの分泌が促されます。セロトニンは反復運動をスムーズに行うためにも分泌されるため、一定のリズムを保った呼吸、ウォーキング、ジョギングなどを行うことはセロトニン不足による弊害を防ぐことにも繋がります。

姿勢の癖や考え方の癖と同じように、無意識に行う呼吸にも自分の癖が出やすいです。ヨガの時間は、今の自分がどのような呼吸をしているのかに目を向け、心と身体を整えていきます

生きるために絶対に欠かせない大切な呼吸。是非、深い呼吸が身体を巡る心地良さを実感してください。

マメ知識
※プラーナヤーマ(Pranayama)=呼吸法、調息
ヨガの8段階の道しるべを示した八支則のうちの4段階目の教え。
プラーナとは、サンスクリット語でガス交換としての呼吸だけでなく森羅万象の生命エネルギー、生命力を意味する。
呼吸によりプラーナを身体の隅々まで行き渡らせ、呼吸・身体・心を繋げることに意識を向けていく。

次の記事

側屈のススメ